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Data&Analysis部の稲葉です。 キャディは2026年6月10日(水)〜12日(金)にパシフィコ横浜で開催されたSSII2026(第32回 画像センシングシンポジウム)にプラチナスポンサーとして協賛しました。また、キャディから3名が登壇しましたので、当日の様子をレポートします。 オーガナイズドセッション:産業界における生成AIの利活用 技術動向解説セッション:CADにおけるAI分野の動向と製造業への実適用 インタラクティブセッション 終わりに オーガナイズドセッション:産業界における生成AIの利活用 生成AIが産業界でどのように価値を生み、どのような条件で実運用に乗るのかを議論するセッションです。 キャディからは、オーガナイザーとしてシニアリサーチエンジニアの福原(@gatheluck)、また講演者として私、稲葉(@mi_spindel)が登壇しました。会場には約450名と、非常に多くの方にお越しいただきました。 登壇資料はこちらです。 speakerdeck.com speakerdeck.com 私からは、Data&Analysis部として取り組んでいる生成AI活用事例として製造業RAGを紹介しました。 (本当は、他にも様々な取り組みがあるのですが、また機会を見て紹介したいと思います。) また、この中で直面した課題の一つが「各LLM/VLMモデルが我々のドメイン特有のタスクをどこまで実行できているかが不明」というものでした。 そこで、製造業LLM/VLMベンチマークとしてManuDraw-Benchを独自構築し、比較評価したお話しをしました。 皆様からのたくさんの質問をいただきまして、ありがとうございます。当日は時間の関係で回答しきれませんでしたので、ここで回答したいと思います。 Question: CADでのDXFはパースせずに図面の見た目で拾ってしまった方が総合的なコストが安いという判断でしょうか? Answer:DXFなどベクター図面のまま処理した方が、QualityやCostの観点で良いタスクは存在していると思います。ただ、結局はimage encoderが必要なタスクはありますし、処理プロセスの種類が増えることによって運用負荷も増えますので、QCDを総合的に判断して技術選定をしています。 Question:会社の固有知識については基本的にはRAGで対応となると思うのですが、RAGでは対応しきれないのではないか、モデルの Fine Tuning が必要ではないかという意見も社内であり、意見が分かれています。 Fine Tuning まで実施したというような事例はあるでしょうか? Answer:Fine Tuningまで実施した事例があるかないかの詳細はお答えできないのですが、Fine Tuningを考える前に基本はナレッジ管理とGroundingで対応できないかを先に考えるべきだと思っています。また、Fine Tuningと言えど一定のデータ量は確保しなければならないですが、機密情報の漏洩を考えると個社ごとに調整をすることになりがちです。確保できるデータ量とその労力に対する効果を検討する必要があります。 Question:過去の故障事例などは、設計改善に使用可能なレベルで、原因情報が現場から上がってくるモノでしょうか?実は、原因をLLMが把握するところに課題はないでしょうか。 Answer:おっしゃる通りで原因とその対応が上がってくる仕組みを作ることが重要ですし、そこは課題です。その解決のためにも、キャディが提供しているような部横断のデータ基盤を構築しデータを紐づけることが必要になります。 Question:P15のVLMによる3次元点群予測は1点1点を文字列として出力しているわけではないのだと思いますが、Pythonスクリプト出力などでCADモデリングさせて、表面に点を生やしているのでしょうか? Answer:1点1点を点群を文字列として出力させているのではなく、メッシュモデルとして形状を面の組み合わせで出力させてから点群サンプリングをしています。おっしゃるようにPythonスクリプト出力などでCADモデリングする方法もありますが、コーディング能力や各LLM/VLMが扱える開発環境にも依存するため、このような方法を取っています。 Question:位置やサイズなど幾何的な理解の性能は、モデルの進化を待てばある程度上がってきそうなベンチの結果になっているのでしょうか? Answer:そのあたりは今後の傾向を見てみないと何とも言えないところですので、今後もトラッキングしていきます。ただ、自然画像や文字列で表現されている位置やサイズの理解は進化が見られます。 Question:3面図とアイソメ図でVLMからみた理解度にどれだけ差があるのでしょうか?VLMの訓練にメインで使われているであろう写真データには三面図的な見え方は珍しそうに思います。写真に近そうなアイソメ図の方が理解してくれたりするのでしょうか? Answer:とても良いご指摘です。三面図をそのまま与えるよりは、斜めから見たアイソメ図の方が形状の理解力は高い印象です。ただ、アイソメ図には寸法など必要な情報が抜けているので、処理プロセスのどこかでアイソメ図にリフトするとかデータを組み合わせて利用するとか工夫は必要にはなると考えています。 共に登壇いただいたエクサウィザーズの加藤様、LayerXの松村様、素晴らしい発表をありがとうございました。エクサウィザーズ様はやはり取り組まれていることの幅が広いですし、生成AIの性能だけでなくUI/UXやガバナンスといった活用推進の重要なポイントを俯瞰して抑えられているなと感じました。LayerX様はAgentありきの業務フローに変革していく強い意思を伝えながらも、結局は当たり前をやりきれるかという話に共感しました。 登壇の様子 技術動向解説セッション:CADにおけるAI分野の動向と製造業への実適用 昨今の3D基盤モデルなどの潮流を概観し、CAD解析技術の実プロダクト適用における「研究と実践」のリアルを解説するセッションです。 キャディから、Data Platform本部長の今井(@imaimai0)が登壇しました。こちらも500名近い方に聴講いただくことができました。 speakerdeck.com なぜ製造業においてCADが重要なのか、CADの活用において何がボトルネックになっているのか、最新研究の動向はどうなっているのかをお話ししています。 詳細は資料をご確認いただけると幸いですが、私からは特に、CAD(Geometric系)やMechanical Engineering系の研究開発をもっと盛り上げたいと思っていることをお伝えしたいです。 資料の中でもCVPRにおいてGeometric系の論文は5%程度というお話しがありましたが、製造業のGDPが日本の2割程度を占める巨大産業にも関わらず日本においても類似の研究開発が少ないように思います。我々もResearchチームの規模を拡大中ですし、共同開発や共同研究の機会も探しているところです。一緒に盛り上げていただける仲間を募集中です。 インタラクティブセッション 6/11(木)のブース出展では、多くの方にキャディブースへお越しいただきました。セッションを聴講して「話を聞いてみたい」と立ち寄ってくださった方もいらっしゃいました。 ポスター発表では、現在取り組んでいる研究開発テーマを紹介しました。注力しているテーマとして、以下の3点をご紹介しました。 設計資産全体を横断して検索するための、2D図面と3D CADモデルの埋め込み空間の統合 3D CADデータ内の加工に必要な特徴の認識 製造業ドメインに特化した独自の視覚言語モデル(VLM)評価ベンチマーク ManuDraw-Bench ManuDraw-Benchは公開されているのか?されないのか?といった質問をたくさんいただきましたが、権利の関係上公開は難しいです。ただ、業界の研究開発を促進したいと思っていますので、何かしら対応を考えていきたいとは思っています。 お話いただいた皆様、本当にありがとうございました! 終わりに SSII2026への協賛・参加を通じて、製造業領域におけるAIの研究開発の現状や、その中でのキャディのチャレンジについて知っていただく貴重な機会となりました。また、来場者の方との交流から、日々取り組む課題に対してもヒントを得られる非常に有意義な場でした。 運営の皆様、素晴らしい会をありがとうございました。 今後もキャディは技術的な挑戦を続け、画像センシング・コンピュータビジョン研究コミュニティの発展と、モノづくり産業のポテンシャル解放の両面に貢献していきたいと思っています。 また皆さんとお会いできることを楽しみにしています!